三省堂は本ぎらいの創業者がつくったベンチャーマインドにあふれためちゃくちゃな会社だった(良い意味で)

風邪をひいてギリギリで仕事をこなしていたのでしばらくお休みしていましたが再開します。
飯田一史 ichishi iida 2026.02.06
誰でも

愛知県瀬戸市の独立系書店「本・ひとしずく」さんで2月19日夜にトークイベントをします。ぜひお申し込みください。テーマは「本で地域をもりあげる、地域で本を支える」です。このイベントは「書店と図書館の連携」の一環で行われますが、もっとひろげて「本と地域」をむすびつけている事例を国内外問わず紹介します。「あ、そんなのやっていいんだ」「おもしろそう」と感じてもらって、何かやりたくなるような話ができればと思っています。
本屋が商売としてきちんと成り立つようにしていくことも一方で重要ですが、お金に関係なく本にからんだ自発的な動き、それによってひととひととがつながる動きがぽこぽこ起こることも大事なので。

3月21日に西荻窪ことカフェで、ひとり出版社knott booksさんから第一弾書籍として刊行される『書店員の怒りと悲しみと少しの愛』のトークイベントに出演します。

詳細が決まったらまたお知らせします。

連載「「読書推進」再考」の第2回「戦前~1970年代初頭までの「読書推進」界隈のヘゲモニー争い」掲載。戦後になって「読書指導」ではない「読書推進」ということばが浮上してくるわけですが、出版業界側と図書館サイドで主導権をどちらがにぎるのかのあらそいがありました。図書館側には「商売の手伝いをさせられるのはこまる」と思いつつ、しかし、出版社や取次、書店が利潤から捻出する資金がなければさまざまな運動、施策ができないから全否定もしにくいというジレンマがありました。

アメリカでは学校でみんなで本一冊読むことを前提に授業や課題をするカリキュラムになっており、そこで選ばれる本は児童文学・YAの賞や全米図書賞などを獲り、しばらく経ってもアクチュアリティを失っていない(子どもに読ませてもいいし、読ませるべき)と判断されたタイトルです。で、作家は学校に講演や朗読、ワークショップのツアーしたりすると。そうするとアワード受賞作家になればバックリスト(既刊)が長く売れる。
日本はそういうしくみがなく、文学賞はその瞬間の売上ブーストにつながるだけで、「定番化」には何の役にもたたない。結果として新刊中心市場になり、すると刊行点数を減らして売れるものをロングで売っていくという、経営上、効率的な売り方ができない。そして既刊が動かないと版元も本屋もくるしい。
しかし定番の既刊がしっかり売れるような売り方づくり、エコシステムが必要ではないか。
という話は関係ないので書きませんでした。

この動きに火を付けたジョナサン・ハイトの『不安の世代』が日本ではこの1月末にようやく翻訳が出たくらいなので、250万部以上売れている欧米の動きからはよくもわるくも周回遅れ(パニックになって拙速な動きをしていないという意味では良い)。私は学校でのスマホ利用は制限してもいいと思っています。学校外は個人・家庭に制限をかけるのはムリなので、事業者側に制限をかけるしかないですね。

ローカルニュースの経営が成り立たないと、地元のことを取材できる人がいない状態になるわけで、それは地域にとっても国全体で見ても避けるべき事態だと思います。なかなかむずかしいですが……

トラック新法をめぐって取次が出版物流からの撤退も示唆したことで波紋を呼んでいますが、出版倉庫に取材すると、倉庫はトラックと違ってロビイングのパワーが弱いがゆえに、物流の2024年問題、2030年問題対策としての人手不足解消のための働く環境、賃上げに向けた法的整備はほぼ何も起こっていないんですね。めちゃくちゃきびしい。トラックもそうですが、倉庫も出版から撤退して違うもの扱ったほうがいいと言ってやめたり、あるいは設備やシステムが老朽化したけど更新費用がまかなえないからやめたりといったことが頻発しています。
かつては「日本の本は他の先進国より安い」と出版社が誇っていたわけですが、その安さは書店、輸配送、倉庫、印刷、製本というステークホルダーをひたすら買い叩いて実現しているものであって、まったく誇るべきものではありません。

制作のお手伝いをしました。ブックライティング仕事もやっています。

三省堂書店史のあとは東京堂、書泉史を書いてこの春、注目が集まるであろう神保町の盛り上がりに多少貢献できればと思っています。ではまた

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