韓国、中国企業の漫画・webtoon関連記事まとめ8:韓国の関連産業動向1

IMARTのウェブトゥーンパネル登壇に向けてニュース、記事の情報を情報整理したのでシェアします。ニュースのセレクトはKOCCA JAPANのKOCCA Content Biz NewsとJETRO上海コンテンツBizニューズレターで紹介されたものも参考にしています。韓国語からの翻訳はPapago、英語と中国語からの翻訳はDeepLを使っています
飯田一史 ichishi iida 2022.10.09
誰でも

電子書籍事業を開始:インフォコムがコミックを配信 2013.06.13 NNA韓国 経済 

・ウェブトゥーン原作の「隠密に偉大に」(※邦題『シークレット・ミッション』)は韓国映画史上最高の83%という事前予約率を記録し、公開1週目で350万人の観客を動員した。

ウェブトゥーン原作映画、いつから「成功している」と言っていいのか難しいところですがこのへんはもう確実に言えるのでは。

ウェブトゥーン、韓流産業の期待の星に 2014.09.12 NNA 韓国 経済 

ネイバーで2005年からこれまでに連載を持ったマンガ家は365人。出版マンガ家団体である韓国マンガ家協会の加盟者(277人)よりもはるかに多い。ウェブトゥーンのキャラクターが無料通話アプリのスタンプに使われたり、ドラマ・映画化されたりして二次ビジネスにつながるケースも出版マンガより多いという。韓国コンテンツ振興院の関係者は、作品を簡単に発表できる場が増えてマンガ家の門戸が広がったとみている。出版マンガの場合、人気のマンガ週刊誌でも販売50万部が最高だが、今年上半期(1~6月)のネイバーとダウムのウェブトゥーンは1週間に160万人が閲覧しているという。

2014年からウェブトゥーンすごいぜと言われている。まあ実際このころに日本進出も果たしているわけですが。

ただ、ウェブトゥーンの二次利用で出た収益のうち、作家には20~25%しか払われていないとの指摘もあり、改善が求められている。

これが高いのか低いのかどういう計算なのかわからないのでなんとも言えないですが韓国では「低い」と言われていたみたいですね。

NAVER、「ウェブトゥーンに合う音楽を自動的に提供するシステム」の特許登録成功

これからは作家があらかじめ設定しなくてもウェブトゥーンを見ながら、そのウェブトゥーンに合う音楽が自動的に再生される日が来るようです。それも読者の好みに合わせて、読者が使う音源ストリーミングサービスを通じて…。

ウェブトゥーンの人気キャラ「イドゥナ」、1st音源「with a lot of tears」をリリース

2011年にリリースされたスジの「with many tears」を再解釈して作られたイドゥナの「with many tears」がリリース。これはけっこうすごい話で、もともとこのイドゥナというキャラはスジをイメージして描かれているんですわ。で、そいつがカバーするのをスジ側もOKしたという話ですから。日本では『下の階には澪がいる』というタイトルでLINEマンガにてウェブトゥーンが配信されています。

韓国ではウェブトゥーンに音楽側が絡むときにはスジとかGIRIBOYクラスですからね。日本で言ったらPUNPEEとかがウェブトゥーンのOST作るようなものです。そんくらいやらないと世間的にもインパクトないです。

EMOTIONstudio、STUDIO DRAGON、Pan Entertainmentが勢揃い。超トップクラスが集結するKIDARIのドラマ化事業

日本ではファンタジー系のウェブトゥーン作品の大ヒットばかりが注目されますが、韓国ではドラマ化しやすいジャンルのウェブトゥーン作品に脚光が集まっています。

ウェブ小説→ウェブトゥーン→ドラマ、アニメ、ゲーム展開でそれぞれ向いてるところに広がっていく、で、展開先からウェブトゥーンやウェブ小説に流入するというサイクルを日本でも早く作らないといけない。

CJ ENM、KT”STUDIO GENIE"に1,000億ウォンを投資

ウェブ小説·ウェブトゥーン専門のSTORYWIZ、MPP(Multiple Program Provider)チャンネルのSkyTV、OTTサービスのSeezn、音楽ストリーミングプラットフォームのGenieMusic、Tコマース·コンテンツ流通専門企業のKTα等が、KT-STUDIO Genieを中心に、IP確保からコンテンツの企画-制作-流通へとつながるメディアバリューチェーンを構成

KAKAO、漫画界の女王ファンミナ作家の名作をウェブトゥーン化

日本でも『サイコメトラー』や『どろろ』のウェブトゥーン版が始まったけど名作リメイクは可能性がある。

1兆市場Kウェブトゥーン、OSMUで韓流シナジー狙う

・「地獄が呼んでいる」や、「今、私たちの学校は…」などのウェブトゥーンからドラマへとジャンル変化で成果を出し、韓流コンテンツの「Kゲーム」とも相互協業し、「OSMU (One Source Multi Use)」コンテンツとして頭角を現している。韓国コンテンツ振興院の最近の調査結果によると、2020年ウェブトゥーン産業の売上高は1兆538億ウォンと、前年比64.6%増加。米国や日本を中心とした紙漫画が中心だった9兆ウォン規模のグローバル漫画市場は、韓国のウェブ漫画を中心に再編されている。

・最近はゲームとウェブトゥーンのコラボが活発に行われて注目されている。 人気ウェブトゥーン「ユミの細胞」のIPを活用したモバイルゲーム「ユミの細胞たち“ザ・パズル」の場合、昨年サービス開始された直後Apple storeとGoogle Playでカジュアルゲーム部門ダウンロード1位を記録した。また、グローバルゲーム会社PUBGの世界観を基盤として人気ウェブトゥーン制作会社YLABが『100』『沈黙の夜』などの作品が国内外で好評を博しているなど、ゲームIPのウェプトゥーン化も行われている。

『ユミの細胞』はドラマもめちゃくちゃ人気

・韓国政府及び団体からもウェブトゥーンとゲームの産業的付加価値を極大化するため、各ジャンルの代表企業と手を組んだ。韓国コンテンツ振興院は先月、ネイバーウェブトゥーンやGoogle Playとともに、「グローバルウェブトゥーンゲームズ(GLOBAL WEBTOON GAMES)」の協約を結び、「ノブレス」や「外見至上主義」など、ネイバーの人気ウェブトゥーンを、韓国のゲーム会社がゲーム化するプロジェクトを開始した。

・ゲームはKポップと共に2000年代から韓国がコンテンツ強国として認められるようにした代表ジャンルだ。 2020年18兆8855億ウォンの売上高と81億9356万ドルの輸出額を記録し、米国と中国、日本に続き世界4位の韓国ゲームがウェブトゥーンIPを活用し、新しい転機を迎えることができるという期待が高まっている。ネイバーウェブトゥーン関係者は「ウェブトゥーンIP基盤ゲームを製作するプロジェクト開発会社を募集する予定」とし「5社を選定しウェブトゥーンIP契約金免除および国内外マーケティング支援、ゲーム開発支援金支給など計20億ウォン規模の恩恵を提供する計画」と話した。

日本でも「業界挙げての取り組み」が必要では。あとゲーム業界の金銭感覚と出版業界の金銭感覚は良くも悪く違うので、ゲーム業界からするとIP開発のための投資という意味ではウェブトゥーンはそれほど高くない(もちろん規模にもよるが)ので、そういう意味でもケチくさくならないために収益構造が全然違うところと組むのは重要だと思いますね。

韓国コンテンツ振興院、2022年アニメーション制作支援事業に127億ウォン投入する

・文化体育観光部と韓国コンテンツ振興院は優秀な韓国アニメーションの制作を活性化するため、総額127億ウォンの「2022年アニメーション制作支援事業」を推進する。この事業は次世代・IP活用・国産・独立の4部門で構成されており、韓国国内のアニメーションの企画および創作・制作の事業者を対象として総額127億ウォンを支援する。国産部門の場合、前年の8本から今年は13本に拡大し、最大支援金も3億5000万ウォンから4億ウォンに増額した。次世代部門も支援作を12作から20作に拡大し、ネットフリックス、YouTubeなどオンラインプラットフォーム市場の拡大に対応する。独立部門は新人の独立クリエイターの育成、脆弱分野の支援及び多様性確保のために設けられた。

・IP活用部門はアニメーションジャンルの多元化に向け、今年新設された部門で、企業が保有するドラマやウェブトゥーンなどのIPを基に制作されるアニメーションに20億ウォン規模の支援を行う。代表的なOSMU(One Source Multi Use)産業であるアニメーションと他ジャンルとの連携により、コンテンツ産業の持続可能な成長動力を確保するための試みである。また、4部門での制作支援以外にも「アニメブートキャンプ」を通じて初期企画段階のプロジェクトに対する支援も継続する予定だ。

『外見至上主義』のアニメが11月からNetflixで配信されます。ソウルに本社のあるスタジオミール制作。

2021年、韓国ゲーム市場規模20兆ウォン突破の見通し

 ・文化体育観光部と韓国コンテンツ振興院は2020年国内外のゲーム産業の統計と動向をまとめた「2021大韓民国ゲーム白書」を発刊した。 2020年、韓国国内ゲーム産業の売上高は前年比21.3%増加した18兆8855億ウォンと集計された。輸出額も81億9356万ドル(約9兆6688億ウォン)で前年比23.1%増加した。2020年のモバイルゲームの売上高は、10兆8311億ウォンと、全体ゲーム産業の売上の57.4%を占めた。続いて、PCゲームの売上高は4兆9012億ウォン、コンソールゲームの売上高は1兆925億ウォン、アーケードゲームの売上高は2272億ウォンをそれぞれ記録した。全てのゲームフラットフォームの売上は前年比増加したが、特にモバイルゲーム(成長率39.9%)とコンシューマーゲーム(成長率57.3%)が全体ゲーム市場の成長を牽引したとみられる。

・2020年の世界ゲーム市場の規模は2096億5800万ドルである。世界市場で韓国のシェアは6.9%で、米国、中国、日本に続き4位となり、前年より1ランク上昇した。プラットフォーム別に見ると、PCゲームのシェアは12.4%で中国、米国に次ぐ3位、モバイルゲームのシェアは10.3%で中国、米国、日本に次ぐ4位となった。

カカオ、今年50作品の映像化ライセンス販売 

・カカオエンターテインメントが今年50作以上のウェブトゥーン・ウェブ小説のドラマ・映画・アニメの映像化ライセンスを販売した。これは前年比約2倍増加した数値で、全体の2割がDisney+とApple TV+を含む海外の制作会社に販売された。

・カカオエンターIPは国内外の授賞式でも成果を出している。 10月には漫画界オスカー米国最高権威漫画賞「ハービー賞」にマ·ヨンシン作家「ママたち」(Moms)が今年最高国際図書部門に選ばれた。

※マ・ヨンシンの作品はウェブトゥーンではなくてモノクロのグラフィックノベル。

IPの確保が重要、K-OTT業界のOSMU戦略

・wavve、TVINGなどの韓国国内のOTT企業がIPの確保に向けてオリジナルコンテンツ制作や企画に積極的に取り組みながら、OSMU(ワンソース・マルチユース)戦略を活用する方針だ。

・wavveの子会社、スタジオウェーブは、 韓国のアプリマーケットであるワンストア(ONE STORE)と映像物シナリオを基盤に、ウェブトゥーンやウェブ小説を製作し、ストーリーコンテンツの確保に乗り出す計画だ。こうして制作されたコンテンツは wavveでオリジナルコンテンツとして提供される。TVINGは、多様なオリジナルコンテンツを製作·企画して発表している親会社CJENMのIPを共有し、該当事業を拡張している。TVINGは、CJENMのコンテンツのIPを確保し、自社のOTTで流通している構造だ。 

・このようにK-OTT業界がIPの確保に積極的な理由は、グローバル進出とコンテンツIPの先取りによる収益化の実現が目標だ。実際TVINGは米国のエンデバー・コンテントの買収で「ラ・ラ・ランド」 などの作品を確保して事業領域を広げて出ている。来年には日本市場に、2023年からは米市場に本格的に進出する計画だ。また、業界ではコンテンツを通じたグッズ商品の発売もIPを拡大する一つの方法で提示されている。

CJ関係者は「IP確保のためには製作、企画まで全て抱えられる基地が完成しなければならない。 そうしてこそKコンテンツがグローバルに進出できる簡単なルートが完成する」と話した。

・業界はコンテンツを通じたグッズ商品の発売もIPを拡大する一つの方法として提示している。ネットフリックスはイカゲームの実物人形、人形を販売している。 ティービングは酒飲み都市の女性たちの杯を、ヒップホップシチュエーションコメディ「エマージェンシー」の衣類商品を販売しながら付加価値創出に積極的に乗り出す。

OTT業界の関係者は「グッズ商品は大ファン確保に一つ。 購読競争であるため、このような方法を通じて顧客を確保しようとする戦略だ。 引き続き新しいアイテムが出てこなければならないのはOTT業界が全て持っている課題」と話した。

ひとつのグループで一気通貫で海外展開含めやりますよという体制を築くのが日本は出遅れまくってるんですよね……。

長くなったのでまた明日。

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