文春オンラインに『ウェブ小説30年史』抜粋掲載
抜粋なので特に結論なく中途半端なところで終わってますが…(こちらで場所を選んだのではなく文春オンライン編集部セレクトです。記事タイトルも編集部が付けたもの)。
よろしくお願いします。
YouTubeアニメを手がけるPlottさんとソラジマさんのウェブトゥーン参入について話をうかがいました。
これの後編(2本目)の冒頭で言っている話と、文春オンラインの抜粋記事の後半(2本目)冒頭の話はつながっています。
「編集者が選んだ作家・企画の書籍化」と「自由投稿プラットフォームで読者に直接支持された作品の書籍化」を競わせると後者の方がマーケットに支持される確率が高く、ウェブ発単行本は日本で2010年以降の数年で100億のマーケットを作った一方、ウェブ発以外の文芸単行本市場はおよそ4分の1になった。
韓国ウェブトゥーンの強さの背景には、
・NAVERウェブトゥーンのように自由投稿プラットフォームで人気になった作品を公式連載に引き上げる(2000年代に確立)
・ムンピアやJOARAをはじめとするウェブ小説投稿サイト発の人気作品をマンガ化する(2010年代に課金システムが整って以降に急増)
があり、テストマーケティングが済んだ作品にハイクオリティな作画をするという、およそ同じしくみがあります。
2000年代にDAUMとNAVERがウェブトゥーン市場で覇権争いをしていたときに、DAUMは人気作家に描かせ(日本の青年誌のような手法)、NAVERは自由投稿プラットフォームを活用し、NAVERに軍配が上がりました(この話はいずれ公開される、REDSEVENイ・ヒョンソクさんのインタビュー第2弾でイさんがしています)。
これは日本の文芸市場で自由投稿プラットフォーム発の作品が伸びて、紙発は凋落したのとまったく同じ現象です。スーパー編集者が人気作家と組んでも、素人が何千何万と投稿するなかで読者が直接選んだ作品をフックアップしたものと比べればヒットの打率は低い。
これは個々人の才能だけでどうにかなる問題ではなく、しくみの差です。
いくら武術の達人でも、竹槍ではB-29に勝てないのと同じです。
だからここをなんとかしないといけない。
日本のウェブトゥーン参入者がスタジオシステムでゼロイチでIPを作るのは投資効率が悪すぎてサステナブルではない(そもそも白黒マンガの3倍コストがかかるのに国内マーケットは3倍どころか等倍もないのだから相当に企画を源泉しないとどう考えてもペイしないが、白黒マンガのような読み切り→集中連載→連載というステップや、別冊で育てて本誌に登板といった新人育成のしくみがないので読者の反応を見ながら企画を絞るというしくみが日本ではほとんど存在していないので、いきなり読者に連載で届けないといけない)、というのが僕の見立てです。
なのでそこのところどう考えているのかを後半では2社にぶつけています。
あとはバリューチェーンの下流、売る側にも日本のウェブトゥーン産業は課題を抱えているので、そこも訊いています。
7月17日(日)15時~16時半に『行政マンとして図書館員が忘れていること』著者の内野安彦さんと公共図書館の予算減を止めるために何をしたらいいかということをテーマに対談します。
対談となっていますが、慶應義塾大学で図書館情報学を修めたのちアメリカで図書館司書の資格を取った(向こうでは修士課程)広瀬容子さんにファシリテーターとして入っていただきます。
内野さんは役所勤めから図書館の世界に飛び込んだ方ですので役所や議員、首長から図書館がどう見えていて、どう接するといいかという話を。
僕は『いま、子どもの本が売れる理由』を書くにあたって教育政策と学校図書館の関係を相当調べましたが、PISAショック以来の教育改革の流れを踏まえると、公共図書館の予算減というのは国の教育政策として一貫性がない、という点を突いたロジックが構築できる、という話を。
広瀬さんにはアメリカでは司書資格取得にあたっては予算獲得のノウハウが叩き込まれるし、予算を取ってきた人が出世していく、といった日米の違いについて。
それぞれ違ったアプローチから多面的に考えたいと思っています。
図書館で働く人たちの多くは「貸出冊数」をKPIに設定しているのに、貸出冊数が増えても予算が減らされるのであればそれは評価指標として機能していない、意味がないということです。予算を付ける側の理屈、思惑をつかめていない、図書館側とお金を出す側とでコンセンサスができていないから減らされている。
ここを変えていきたい。
「地方自治体の財政が厳しい」と言ってもたとえば土木関係の予算に比べれば図書館の予算は微々たるもので、それは本質的な問題ではない(というのが内野さんの持論です)。
本好き、図書館好き、出版業界の方、あるいは文化行政に関心のある方にはぜひご参加いただければと思います。
ではまた。
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