vol.4 コロナ禍で児童書は「売れた」が「読まれた」のか?

このnewsletterでは出版業界・コンテンツ産業関連の気になるニュースや、飯田が執筆した記事の紹介をしています。3/8にエヴァがついに公開されるのでずっとそわそわしていた1週間でした。
飯田一史 ichishi iida
2021.03.06
誰でも

今週気になった出版ニュース第1位

2020年、休校解除後の朝読を例年どおり実施している学校の割合は62%、段階的に実施が26%、(ほとんど)実施できていないが12%

 高橋松之助記念顕彰財団が主催する「朝の読書大賞」を受賞した小・中・高計42校に対してコロナ禍における読書推進活動のアンケートを冊子にまとめ、サイト上に公開した。

 2020年春からの休校中に、児童・生徒に読書の呼びかけなどを行った学校は74%。

 休校措置の解除後、朝の読書ならびに読書活動を例年通りに実施している学校は62%。

 コロナ禍で感じた読書の効果と影響については「感染予防対策のため、読み聞かせが実施できていない」という声も。

 僕、思うんですが、コロナ禍の巣ごもり需要や休校に伴って学参、児童書がよく売れたと言われているんですが、「売れた」だけで「読む」機会や量は減ったんじゃないか? と。今度この件について記事を書いたので、公開されたらお知らせします。

最近のお仕事(20年10月~)

子どもの本関連のことをいくつか。

『おしりたんてい』新作から「国民的キャラクター化」への道筋が見えてきた…! 「大人も楽しめる」作品や企画も出てくる?

gendai.ismedia.jp

『かいけつゾロリ』著者・原ゆたかが語る、悪役を主人公にしたワケ 「大人に気に入られるいい話を書こうとは思っていない」

realsound.jp

ポプラ社の『おしりたんてい』『ゾロリ』は偶然売れたわけではなくて(もちろん、あらゆるヒットに偶然、運の良さは必要ではあるものの)、非常によく考えられた戦略があります。

児童書として子どもにどう届けるのかについても考えられているし、その先のIP、キャラクターコンテンツとしてどう展開するかについてもまた考えられている。

子どもの感覚は大人とは違いますが、その感覚が違う読者のことを考える、読者と向き合うことがなければ、客離れは絶対に起こります。

「○○ファンの平均年齢は毎年一歳ずつ上がる」と言われる現象は、意識的にチューニングしない限り、放っておけばそうなる。上に合わせる方がラクだからです。

新文化「子どもの本が売れる理由 知られざるFACT」20年12月で終了

www.shinbunka.co.jp

出版業界紙「新文化」での児童書取材記事の連載が20年12月で終わりました。

21年1月からは中高生向けの本の動向を追う新連載が始まっています。

いずれウェブでも公開されると思うので、そのときはお知らせします。

小学生までの本についてもまだまだ取り上げたいものや知りたいことはあるので、どこかで続きがやりたいですね。

46年間「ノグソ」を続けてわかった「うんこの重要性」

自然に還元可能な“正しいノグソ”とは?

gendai.ismedia.jp
gendai.ismedia.jp

子どもが好きなものと言えばうんこですが、ノグソを長年続けている糞土師・伊沢正名さんと、『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか』を刊行した法政大学教授・湯澤規子さんの対談を収録に茨城の伊沢さんの自宅&森まで行きました(緊急事態宣言が発令されるはるか前のことです、念のため)。

生命循環の話から人糞のことは無視されがちなのですが、けっこう本質的なことなんですよね。SDGsでは「きれいなトイレを」と言っているだけで、それはそれで大事だけれども、もう少し踏み込んで考えられるべきだろうと思っています。

「オナニーは体に悪い」子どもの性欲をめぐる近代日本のトンデモ教育論と現代への余波

www.cyzo.com

後半、最近の性教育本ブームの玉石混淆ぶりについて訊いています。SDGs教育の高まりなどが出版ラッシュの背景にあるのですが、家庭の描写で「お母さん」が子どもに何か教えたり家事をしているという性別役割分業丸出しのイラストを使っていたりと「ほんとにSDGsについて読んだんか? ジェンダー平等の項目あるだろ」というものがある、と。気が遠くなりますね。

気になるコンテンツ産業関連ニュース

「マンガも配達?出前アプリの漫画配信プラットフォームに注目」ヘラルド経済 2021.03.03

韓国コンテンツ振興院のメルマガで知りました。

そんなにシナジーあるのか? と思いましたが、飲食クーポンで釣ってマンガ(コンテンツ)にアクセスしてもらう&コンテンツ読みに来るついでに飲食需要を喚起する、というのは日本ではニュースアプリ(SmartNewsなど)がやってることなので似た発想なのかなと。

『愛の不時着』『梨泰院クラス』も超えるか…韓国コンテンツに5億ドル投じるNetflixの“攻め”

sportsseoulweb.jp
"2015年から2020年まで、Netflixの韓国コンテンツへの投資額が7億ドル(約742億円)だったことを考慮すれば、1年間で5億ドル"
"ドラマ関係者は、「過去には最も良い企画をテレビ局に持ち込んだが、今は奇抜で独特、大規模な作品なら真っ先にNetflixに提案する」と語っている。"
"つまり、何かと制約が厳しいテレビ局では実現が見込めない斬新な企画が、Netflixに続々と集まっているのだ。"

結果出せると踏んだところにはお金を出して口を出さない。結果が出なければ容赦なく打ち切る。経営陣の本を読む限りそういう方針なので、今はまだアジア圏ではNetflixの「厳しさ」が表面化していない印象ですが、数年のうちにそっちの面も見えてくると思います。

ただエンタメって「前例あるのか」「数字出せ」とか言われても前例あったらおもしろくないし数字出せるわけないだろということがよくあるジャンルなので、このやり方は基本正しいと思います。

危機また危機、機知また機知――。史上初のK-POPミステリ! 人気シリーズ「特等添乗員αの難事件」の7年振り新作。

www.bookbang.jp

未読なのですが、機を見るに敏というか。でも本当に史上初なのか? という気がします。だって韓国ウェブトゥーンでアイドルものいっぱいあるし、韓国ウェブ小説でもミステリーっぽいアイドルもの、ありそうですけどね。

FantasticYouth「決壊SALVATION」小説コンテスト

www.pixiv.net

pixiv小説で開催。あちこちで起きているYOASOBI×monogatary.com成功以降の「音楽×小説」の動きのひとつですね。pixiv小説は二次創作が強すぎて一次はなかなかヒットが出てこないですが、二次的なのでこういう企画、向いているかもしれません。

サンリオ「ハローキティ」ハリウッド映画化!米アニメ界期待の2人が共同監督、実写×アニメのハイブリッド

www.fashion-press.net

キティってアメリカだとセレブ向けにマーケティングして成功した(大衆向けに売るにはコスト的に見合わなかったのがそもそもの始まり、だったはず)ものなので、意外にいけるのでは。サンリオは経営者が若返りして、ピューロランドもコロナ禍前にはV字回復していたり、そういう改革の中から出てきたのかな、という気がします。

ノベルもマンガも毎日無料で読める!電撃文庫のすべてが手の中に収まるスマートフォンアプリ『電撃ノベコミ』リリース!

dengekibunko.jp

異世界転生マンガはどのマンガアプリでも安定した商材になっていますが、電撃は基本的に毛色が違うので、どうなりますかね。正直、2015年くらいから始めていたら圧倒的に勝っていたと思いますけど……。楽しみではあります。予告されている新作のアプリオリジナル連載が特に。

アルファポリス、3/15にBLレーベル創刊

andarche.alphapolis.co.jp

IRによると"BLジャンルは、当社のWebコンテンツ大賞のエントリー数においても、「ファンタジー小説」、「恋愛小説」に次ぐ規模に拡大しており、今勢いのある急成長中のジャンルとなります。"もともとロマンスに強い会社ですが、BLもいけたらさらに成長しそう。

近況

長年悩んでいたんですが、ドキュメントスキャナをついに購入。CZURのET18 PRO。これで調べもの/文献整理がはかどるはず。「今週のおもしろかった調べもの」みたいなコンテンツもアリかも。ではまた来週。

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