東南アジアの新聞でのウェブトゥーンへの言及2022-2025.1

東南アジアの新聞TheStraitsTimesやBangkokPostなどで「webtoon」で記事検索して引っかかったものを拾い、現地でどのように報道され、扱われているかをまとめた
飯田一史 ichishi iida 2025.04.05
サポートメンバー限定

■Illuminating supernatural series about the afterlife(死後の世界を描く、心を照らす超自然的なシリーズ

2025.01.23 TheStraitsTimes(シンガポール)

「韓国のミステリードラマ『照明店の客人たち』light at the end of the tunnelは、「トンネルの先の光」という慣用句を題材にしている。この超自然的なシリーズでは、光の源は廃墟となった暗い路地にあるライトショップだ」

と始まり、同作の紹介をしている。

韓国のウェブトゥーン作家カン・プルが原作・脚本を手掛けた同作は、2024年12月4日にDisney+で配信開始。この全8話のシリーズは、配信開始から12日以内にDisney+の2024年で最も人気のあるオリジナル韓国ドラマとなった。

同作はDisney+で配信された韓国ドラマとして、世界的に2番目に人気のある作品であり、同じくカン・プルが原作を手掛け、2023年8月に配信された絶賛されたファンタジーアクションドラマ『ムービング』に次ぐ人気を誇っている。

また、カン・プルユニバースについても触れている。

カン・プルは、『照明店の客人たち』が『ムービング』と同じ世界にあるのかと訊かれると謎めいた答えをするが、『照明店の客人たち』のエンドクレジット後のシーンで『ムービング』の主人公コ・ユンジョンが、ペ・ソンウが働く警察署に少しだけ登場。

偶然にも、「ムービング」でコ・ユンジョンの先生を演じるキム・ヒウォンが、「ライトショップ」の監督を務めている。

補足しておくと、Disney+は2021年2月のサービス開始以来、シンガポールのストリーミング市場でNetflixほどではないらしいものの、そこまで大差があるわけではなく、2024年には21%のシェアを築いている(https://theindependent.sg/netflix-retains-dominance-in-singapore-streaming-market/)。

日本だとDisney+はDisneyかマーベル好きが契約するものでNetflixやアマプラよりはマイナーみたいなイメージではないかと思うが、シンガポールではもうちょっと人気のあるサービスだと思ったほうがいいようだ。

■Kim Soo-hyun samples local food and finds it 'very satisfying'キム・スヒョン、地元料理を堪能し「非常に満足」

2024.11.23 TheStraitsTimes(シンガポール)

11月21日に開催されたディズニーAPACコンテンツショーケースでは、来年Disney+ストリーミングプラットフォームに登場する主要なアジア作品が紹介され、韓国と日本のトップスターたちがサンズ・エキスポ&コンベンションセンターのステージに次々と上がり、自身のプロジェクトについて語ったと報じている。

当日のハイライトのひとつが『ムービング』シーズン2が正式発表されたこと。

ほか、日本も関連するところでは、パク・ウンビン、キム・スヒョン、チュ・ジフン、パク・ボヨンのような韓国のスターや、柳楽優弥、笠松将のような日本の俳優、そしてボーイズグループTravis Japanの松田元太が横一列に並び、ミッキーマウスと交流する様子も挙げられている。

■Kim Tae-ri lights up K-drama about lost art formキム・テリ、失われた芸術形式を描く韓国ドラマで輝きを放つ

2024.10.24 TheStraitsTimes(シンガポール)

こちらもDisney+で観られる『ジョンニョン:スター誕生』の紹介記事。

「ジョンニョン:スター誕生」は、1950年代の韓国で人気を博した伝統的な韓国の女性だけのミュージカル劇、国劇(ククク)の世界を扱った、同名の受賞歴のあるウェブトゥーンを原作とした時代劇。

私が2024年にプチョンのウェブトゥーンフェスティバルに参加したときには韓国の漫画博物館でこの作品の展示が行われていたが、日本では翻訳されていない。

■The Fates stumbles, Divine Might rules運命の女神たちはつまずき、神々の力は君臨する

2024.06.30 TheStraitsTimes(シンガポール)

過去10年間、ギリシャ神話のリメイクは出版業界で一大ブームを巻き起こしてきたが、これらのリメイク作品を牽引しているのは女性作家たちであり、西洋文化を形作ってきた伝説の中で、しばしば声を上げられなかったギリシャの女性たち(人間であれ不死の存在であれ)に焦点を当てている、としていくつかの代表的な作品を紹介している。

記事の最後に、冥界の神ハデスと春の女神ペルセポネーのロマンスを描いたウェブトゥーンとして始まり、2022年アイズナー賞ベストウェブコミック部門を受賞したレイチェル・スマイスの『ロア・オリンポス 第1巻』へのリンクを貼っている。

■Thailand eyes 8 trillion baht revenue in 2027 from soft powerタイ、ソフトパワーで2027年に8兆バーツの収益を目指す

2024.06.21 The Nation(タイ)

タイクリエイティブコンテンツ庁(THACCA)が国内初のソフトパワー博覧会を

「THACCA SPLASH - ソフトパワーフォーラム2024」を6月28日から30日までバンコクで開催。

国家ソフトパワーストラテジー委員会のスラポン・スエウォンリー副委員長は現在の会計年度において、国家ソフトパワーストラテジー委員会はソフトパワー推進キャンペーンを開始するために20億バーツの予算を要求。一家族一ソフトパワーイニシアチブ、料理トレーニングプログラム、バンコクの学校でムエタイを選択科目にする推進が含まれているという。

スラポンは、政府がソフトパワーと創造産業が2027年までに経済に8兆バーツを生み出すという目標を設定したと述べた。この目標の半分はソフトパワー関連産業の推定2,000万人の人員から得られ、彼らは年間一人あたり平均20万バーツをもたらす。残り半分は観光、タイ料理、映画、スポーツ、ファッション、フェスティバルからの収益から得られるという見込み。

「海外のタイレストランを現在の3万軒から世界の主要都市で10万軒に増やし、海外のムエタイジムも現在の4万軒から10万軒に増やすことを目指しています」とも言ったという。

※タイ政府がそんなにムエタイをソフトパワーとして推したいとは知らなかった。

BL輸出や草目的の観光で稼ぐんじゃないのか???

日本で行われているタイフェスティバルを見てもムエタイのイメージはなかったが……。

■Korean soft power in focus at QSNCC QSNCCで韓国のソフトパワーに焦点

2024.06.27 BangkokPost(タイ)

タイのクイーン・シリキット・ナショナル・コンベンションセンターで開催される「Thacca Splashソフトパワーフォーラム2024」の一環として行われた韓国パビリオンで韓国のソフトパワーについて学ぶことができる、という案内の記事。

このパビリオンは韓国文化院がKOCCAタイランド、KTOタイランド、ATセンターと協力して主催。

ネイバーウェブトゥーン、コンテンツラボブルー、キダリスタジオによるウェブトゥーン、Zepettoとネットマーブルによるモバイルゲーム、True CJクリエーションズによるテレビ番組、ピンクフォンカンパニーによるアニメーションキャラクター、LGのエレクトロニクスなどが展示され、「Korean Wave Chronicles」の著者キム・ユンジによる「K-Waveの意味とその成功要因」に関するセミナー、『女神降臨』のヤ・オンイ)や『君の全てを奪いたい』(Your Throne)のSAMなどのウェブトゥーンアーティストがファンミーティングに登場した。

サムの作品は英語版だけで1.8億回近く閲覧されており、各国で翻訳されている。

※なお、このイベントには日本のアニメスタジオも参加している。

■Multi-layered K-romance thrives on actor Byeon Woo-seok's charms多層的な韓国ロマンス、俳優ピョン・ウソクの魅力で大成功

2024.06.27 TheStraitsTimes

ウェブトゥーン原作で『女神降臨』(2020年~2021年)でK-POPアイドル、チャ・ウヌを国際的なスターダムに押し上げたイ・シウンが脚本を手掛けたドラマ『ソンジェ背負って走れ』が、『涙の女王』や『私の夫と結婚して』と並んで2024年もっとも話題の韓国ドラマとなり、タイム誌が16話のファンタジーロマンスを2024年最高の作品として称賛した、という記事(同作自体はウェブトゥーン原作ではない)。

※いやあ、全然韓ドラ観れてないわ……と思っていたがここに挙がっている作品は全部観ていた。『ソンジェ』はタイムトラベル的なしかけ部分はツッコミどころがあるけど名作。

■Ministry spices it up with a cartoon script competition in a talent search省庁が才能発掘のため、漫画脚本コンテストで盛り上げる

2024.02.21 The Nation(タイ)

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、10088文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら

サポートメンバー限定
インドの出版産業
サポートメンバー限定
インドネシアの出版・読書・コミック
誰でも
新刊『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』発売
サポートメンバー限定
東南アジアの新聞におけるBookTok、ウェブ小説(web novel)の報道2021-2025.1...
サポートメンバー限定
スペインにおけるコミック/日本マンガ 
サポートメンバー限定
KOCCA『海外コンテンツ市場分析』2024年版から見る北米コミック市場
サポートメンバー限定
ブラジル出版市場における日本マンガ シェア、読者プロフィール、流通、価格、デジタルコミック事業者
サポートメンバー限定
イタリアのコミック市場 読書率、市場規模、デジタル、流通、マージン