KOCCA『ウェブトゥーン産業実態調査2024』に見る韓国ウェブトゥーン産業の変化

リブートします
飯田一史 ichishi iida 2025.03.01
サポートメンバー限定

長らくお休みしていた本Newsletterですが「世界の出版・コミック・読書・デジタルパブリッシング」と題して世界(日本含む)の各機関から出される調査報告書などから出版やコミック市場の実態、読書統計や読書推進施策・政策、図書館動向について週1回、週末配信にて紹介していきます。少なくとも1年はこのスタイルで続けてみて、手ごたえを感じられたらその後も継続していきたいと考えています(ストックをある程度作ってから始めているので、向こう1年の毎週更新はお約束します)。

有料版も始めます。ぜひご支援いただきたいと思いますが、無料版でも1000~1500字程度は読めるようにします(フルは毎週5000字前後配信)。

■経緯

有料Newsletterを始めようと考えた理由はいくつかありますが、主立ったところを2つ挙げると、まず自分が書きたい&世の中で必要とされている情報・知見を読者・支援者の方に直接提供できるチャネルが必要だと思ったこと。

それから、欧米ではNewsletterサービス(だけではもはや実はなくなっている)substackの盛り上がりがすさまじく、substackだけで50万ドル稼いでいる書き手が50人以上いる等々と報じられているのに日本ではまったくその重要性が伝わっておらず(「まぐまぐと何が違うんですか?」「noteじゃダメなの?」「まとめニュースみたいなやつがなんで大事なの?」とかだいたい訊かれる)、自分である程度実績を作ることで周囲にも広めていきたいと思ったこと。などがあります。

■KOCCA『ウェブトゥーン産業実態調査2024』に見る変化

□ドラマよりもキャラクター(グッズ含む)商品の比重が大きくなった

『ウェブトゥーン産業実態調査』(従来は「事業体」「作家」「読者」を分けて報告書が出ていたが、すべてまとまっている)によるれば、2次著作物からの売上がある企業等に比重を尋ねたところ「キャラクター(グッズ含む)」29.7%で最大である。

プラットフォーム企業は「キャラクター」32.3%、「ドラマ」24.8%、「その他収益」12.5%。

CP社(コンテンツプロバイダ。日本では「制作スタジオ」と呼ばれることが多い)では「キャラクター」29.3%、「ドラマ」27.8%、「その他収益」22.8%。

つまり韓国でもキャラクターグッズ商品のほうがもはやドラマから得られる売上よりも大きくなっている。ウェブトゥーンのアダプテーション(二次展開)ではこれまでは圧倒的に実写のドラマ、映画からの版権収入が大きかったが、日本のようにキャラクター商品が広がってきていると解釈できる。ここは日本でグッズやコラボ商品・サービスを作ってきた企業にもビジネスチャンスがあるかもしれない。

ウェブトゥーンのIP展開の展望はどうかと言うと「ウェブトゥーンはこれからめちゃくちゃ伸びる!」と語られていた2020年~2022年に契約された映画、ドラマ、アニメ、ゲームなどが今後3年以内に順次発表されていき、それが市場拡大をもたらすだろうと予想されている。

しかし、これは筆者の私見だが、

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、3827文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら

誰でも
『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』の文化批評的な背景とMechademiaに掲載されたウェブ小説...
誰でも
コロコロDXと絵本ナビを電流協アワードに推薦した理由
誰でも
ビブリオバトル、ブックトークだけでなくてリリックバトル、リリックトークをやってみてほしいんですよね
読者限定
ウェブトゥーン産業実態調査に見る海外市場の見通し、作家に対する海外からのオファー、AI活用の実態
誰でも
いつまで「図書館でマンガ」はちょっと…と周回遅れのことを言い続けるつもりなんだろう
誰でも
「これからどうしたらいいと思いますか」「どういう本屋が生き残れますか」...
サポートメンバー限定
インドのコミック産業
サポートメンバー限定
インドの出版産業