vol.8 4月の気になる新刊(1)小説、ゲーム、音楽、映画、動画関連

記事の企画を練りながら気になる新刊・近刊をまとめました……がおもしろそうなものが多すぎたので2回に分けて共有します。
飯田一史 ichishi iida 2021.04.03
誰でも
コロナ禍の奇跡ーー2020年4月1日以降の日本を舞台にした連載企画Day to Day。100人の作家による物語とエッセイが一冊にまとまった、珠玉の1冊!

これに合わせて書評とエッセイを書きました。


『インディ・ゲーム名作選 (ele-king books)』

史上初 ! インディ・ゲームの決定版ガイドブック これだけはプレイしておきたい名作250タイトルを精選

『K-POPはなぜ世界を熱くするのか』

Z世代を中心に世界を熱狂させるK-POP。そのわけは、音楽でも、パフォーマンスでもなく、5つの “バリアフリー"にあった。お金:ライブに行くまではすべて無料 時間:いつからでも後追い可能 距離:どんなに遠くからでもリアルタイムで参加 言語:どんな言語にも翻訳されるコンテンツ 制約:ファンがどんどんシェアして広めていく

『韓国文学入門(仮) (ele-king books)』

毎月のように翻訳出版もされるようになった今、注目の作家と作品を紹介するガイドブックが登場!「『キム・ジヨン』の次に読むべき本」が見つかる一冊です。

『YouTuber「ポチ」の徹底考察『呪術廻戦』最終講義』

いわゆる謎本をYouTuberが出すようになるとは……。

『団地映画論』

戦後の住宅難を受けて建設された《団地》は、日本人の新しい生活様式を象徴する憧れの的であったが、高度経済成長が下火となる1970年代にはその新奇性は早くも揺らぎ、80年代以降は社会発展の残滓・病理とみなされ、今やノスタルジアの象徴でもある。歴史の中で「新時代」「密室」「郊外」「不気味」「懐古」など千変万化のイメージをまとってきた団地は、映画においては覗きの標的、昼下りの情事の寝床、活動家の潜伏地、男の子たちの戦場、幽霊の住処……など、相貌を変えながらもやはり時代の息吹を指し示す存在としてあった――つねに同時代を代弁/批評してきた《団地映画》を解読し、「住むこと」の変遷を描き出す、はじめての本格的団地映画論!

『自分探しするアジアの国々: 揺れる国民意識をネット動画から見る』

序章 アジア理解の難しさ 1章 インドネシア: デジタル化とイスラーム化が進行する「想像の共同体」の現在 2章 シンガポール: エリート主導の無臭アイデンティティー創出と若者の自己探求 3章 マレーシア: 国民的漫画が描いたマレー人優先政策下の社会変容 4章 フィリピン: ミュージカルで再解釈された「フィリピン独立の父」 5章 タイ: 国民意識の根底にある仏教の寛容と非寛容 6章 インド: 「悠久のインド」を語ることの意味 7章 バングラデシュ: 「ベンガル」と「イスラーム」のあいだで揺れる国民意識 8章 中国: 中国は「一つの中国」なのか 9章 韓国: グローバル化と多民族化がもたらした儒教社会の変容 10章 モンゴル: 騎馬民族ヒップホップが刻む体制転換のトラウマ 11章 ベトナム: 「南の中華帝国」からグローバル移民ネットワーク国家へ 終章 グローバリゼーション時代のアジアの「自分探し」

アジアのポップカルチャー、若者動向知りたいですね。

『ない本、あります。』

日常の写真を投稿すると、題名からあらすじまで架空の本を作成してくれるアカウント「ない本」。本書には選りすぐりの28編を収録し、その全てに超短編を書き下ろしている。

レムの『完全なる真空』は架空の本の書評だったけど作品を書き下ろすとは。Twitterアカウント発。これもウェブ小説書籍化のひとつ。

『ヒッピーのはじまり』

はじまりの地で、はじまりの時からフラワー・チルドレンに混じり、観察を続けた女性人類学者による鮮烈な記録。

ヒッピーカルチャー史、読むの好きなんですよね。めちゃくちゃで。解放を感じるので。

『ニッポン男性アイドル史 一九六〇―二〇一〇年代』

GSの話が書いてあるのが気になる。

『脚本の科学 認知と知覚のプロセスから理解する映画と脚本のしくみ』

経験則を神経科学で検証する本、好きです。

『一生忘れない怖い話の語り方 すぐ話せる「実話怪談」入門』

怪談には疎いのですが歴史やノウハウは気になっています。

『小説家になって億を稼ごう』

既に話題沸騰ですが。森博嗣の『作家の収支』やあかほりさとるの『オタク成金』とあわせて/比べて読みたい。


『春画にハマりまして。』

個人所蔵の珍しい春画も、全てカラーで掲載。

春画展って高齢コレクターが亡くなったりすると急に展示が難しくなったりするらしいですね。

『ビジネス小説 もしも徳川家康が総理大臣になったら』

新型コロナの初期対応を誤った日本の首相官邸でクラスターが発生。あろうことか総理が感染し、死亡する。国民は政府を何も信頼しなくなり、日本はかつてないほどの混乱の極みに陥った。そこで政府はかねてから画策していたAIとホログラムにより偉人たちを復活させ最強内閣をつくる計画を実行する。AIにより総理大臣に選ばれたのは、江戸幕府の創始者である徳川家康。経済産業大臣には織田信長、財務大臣に豊臣秀吉、厚生労働大臣に徳川綱吉、法務大臣に北条政子、外務大臣に足利義満など錚々(そうそう)たるメンバーの中で、皮肉にも総理大臣の補佐役である官房長官に選ばれたのは、江戸幕府を終わらせた男・坂本龍馬だった。

出オチみたいな設定ながらよく考えて書き切ったなと。

『ビジネスはスマホの中にある ショートムービー時代のSNSマーケティング』

メジャーデビューしていない瑛人の「香水」はなぜ空前の大ヒットになったのか。マクドナルドのスマホアプリのクーポンで「フライドポテト」が一番上に来るのはどうしてか。“見えないところ"でどんどん新しいマーケティングが進んでいる。絶えず進化するSNSは、テキストから写真、写真からショートムービーの時代になった。とりわけ2019年のアプリダウンロード数年間1位になった「TikTok」は、先行するYouTubeとはまったく異なる進化をしながら、巨大なプラットホームになっている。キーワードは「(AI)SAS」。読んだ人から意識が変わる衝撃の一冊。

売れてる本

『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』

『飛び降りようとしている女子高生を助けたらどうなるのか?』 (角川スニーカー文庫)

最近話題のラノベ。読めてないですが読みます。ラブコメラノベ盛り上がりすぎて個人的にはすでに食傷気味ですが主要な人気作品の映像化はこれからなので界隈を越えて世間レベルでの盛り上がりはこれからなんだろうな。

Amazonランキング

マンガで一番売れてるもの

少年マンガ:『僕のヒーローアカデミア』30

青年マンガ:異世界居酒屋「のぶ」(12)

女性向けマンガ:31番目のお妃様 3 (B's-LOG COMICS)

ウェブ小説原作マンガ強い。『のぶ』も『31番目のお妃様』もそう。ヒロアカはもちろん違いますが。ジャンプといえば

『描きたい!!を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方』

制作のお手伝いをしました。とてもおもしろいのでぜひ買ってください。

小説で一番売れてるもの:朝井リョウ『正欲』

毎度思いますが題材、設定選びがジャーナリスティックでさすがだなと思います。それでいて心理描写が強みである小説を存分に活かせるところで戦っている。

児童書で一番売れてるもの:『PUI PUI モルカー モルだくさん!公式キャラクターブック』

大人の支持者が多いですが、僕の息子5歳もハマってました。

今月公開の気になる映画

『砕け散るところを見せてあげる』4/9公開

アニメ化もされた「とらドラ!」「ゴールデンタイム」の竹宮ゆゆこの同名小説を「坂道のアポロン」の中川大志&「ガールズ・ステップ」の石井杏奈主演、「蟹工船」「うさぎドロップ」のSABU監督のメガホンで実写映画化。平凡な日々を送る高校生の濱田清澄は、ある日、学年一の嫌われ者と呼ばれる孤独な少女・蔵本玻璃に出会う。正義感の強い清澄は玻璃に救いの手を差し伸べ、玻璃はそんな清澄に対して徐々に心を開いていく。しかし、玻璃には誰にも言えない秘密があった。その秘密に気づき始めた清澄に、恐るべき危険が迫り……。

『ブックセラーズ』4/23公開

世界最大規模のニューヨークブックフェアの裏側からブックセラーたちの世界を捉えたドキュメンタリー。業界で名を知られるブックディーラー、書店主、コレクターや伝説の人物まで、本を探し、本を売り、本を愛する個性豊かな人々が登場。さらに、ビル・ゲイツが史上最高額で競り落としたレオナルド・ダ・ビンチのレスター手稿、「不思議の国のアリス」のオリジナル原稿、「若草物語」のルイザ・メイ・オルコットが偽名で執筆したパルプ小説といった希少本も多数紹介する。

outro

グラブルのエイプリルフール合わせのボーボボコラボにとても笑わせてもらいました。

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