イタリアのコミック市場 読書率、市場規模、デジタル、流通、マージン
イタリア出版者協会(Associazione Italiana Editori, AIE)の調査部門が実施した15~74歳を対象にした「読書に関する観測調査(Osservatorio AIE sulla lettura e i consumi culturali)」2024(2023.12実施)によれば、
一般読者の漫画/グラフィックノベル読書率:16%
頻繁な読者(年間12冊以上)のコミック読書率:25%
である。調査によっては23%とするものもあるが、せいぜい2割台といったところだろう。
■イタリアのコミック市場
イタリアでは伝統的にコミックは主に廉価なアルバム(一作品ごとの薄い形式)形式で新聞販売店で流通していたが、グラフィック・ノベルや日本マンガが充実してきたことでコミック専門店、さらには一般書店に進出している。
2024 年の書籍市場(コミックを含む)の売上分布は
・実店舗(チェーン店および独立系書店):54.5
・オンライン書店:40.9
・大規模小売チェーン(GDO.日本で言うモール、ショッピングセンター、総合スーパー、コストコなど):4.6%
ただしこれは新聞販売店のデータは含まない(日本以外の国では新聞や雑誌と書籍は「別物」扱いが多い)。
2021年、実店舗での書籍(コミックだけではない書籍市場全体)販売額は6億9800万ユーロ(1ユーロ約160円とすると1132億円)、オンラインショップとデジタル書店の販売額は5億9000万ユーロ(957億円)。合わせると2000億円台。
うちコミックスは、2022年に1150万部が物理書店、オンラインストア、量販店を含む流通チャネルで販売され、流通チャネル(独立書店、チェーン書店、オンライン書店)における販売額は1億0787万1000ユーロに達し、2019年と比較して199.7%増加。書店やスーパーで販売される書籍の10冊に1冊以上がコミック書籍である。
……という報道がある一方で、
イタリア出版者協会(Associazione Italiana Editori, AIE)のコミック・グラフィックノベル委員会が2023年10月に実施した「Dopo il botto. Lettori e libri a fumetti a tre anni dal boom di mercato」(市場の爆発から3年後のコミック読者と書籍に関する調査)では


コミック市場は7560万ユーロ(約123億円)。
ただし読者数は2021年に870万人、2022年1020万人、2023年930万人と増えたり戻ったりしている(2021年、2022年はまだコロナ禍である点は割り引いて考える必要がある)
コミック市場の部数シェアでは日本マンガが最大だが、
2019年から2022年にかけて急増し、2022年から2023年には微減している。日本マンガだけで近年は年間600~700万部市場である。2020年には『ヒロアカ』が8万部近く売れたのが「大ヒット」という扱いで報じられている。人気ジャンルはやはりアニメで人気の少年誌系タイトルが多い。