Web小説書籍化クロニクルとYouTube小説 オンライン小説書籍化の歴史と現在

newsletter始めました。最近のお仕事と気になった出版関連ニュース、オンラインイベント出演(14日21時~)の告知をお送りします。分量、内容ともに手探りですので、ご感想やリクエストをいただければ幸いです。
飯田一史 ichishi iida 2021.02.13
誰でも

■最近のお仕事

 これまで仕事の告知は主にnote上でしていましたが、2021年9月末以降、noteの更新をほぼ停止していました。

 21年3月刊予定の単行本執筆に注力するためと、数々の事件からピースオブケイクの運営体制への信頼を著しく失って移転先を探していたためです。

 移転先もこうして見つかり、原稿も無事書き終えましたので、滞っていた仕事の告知をしたいと思います。とはいえ10月から4か月分を一挙にとなるとなかなかな分量になって誰も読まなくなりそうなので、しばらくは10本くらいずつ小分けにお知らせしたいと思います。

・Web小説書籍化クロニクル

第1回「90年代ウェブ小説の書籍化」

第2回「2000年代前半のウェブ小説書籍化(前編)」

 エブリスタ運営の「monokaki」での新連載です。ウェブ小説からの書籍化は今でこそ当たり前になりましたが、そうなるまでにはさまざまな過程がありました。その変化のプロセスを90年代から辿っていきます。

 2021年視点で90年代ウェブ小説の書籍化を眺めると、純文学もネットでの小説発表を毛嫌いしていなかったことや、ハイパーリンク(どんどんクリックで別ページに飛んでいけるというネットの特性)を本に置き換えようとした試みがあったことなどが印象的です。

ま、本にしてもたいして売れたものが出なかったので、このころはあまり話題になってないし、ウリにもしてない(なっていない)ですね。

 なお分量の関係でこの連載、2000年代までで終わりますが(月1回更新、全6回)、2010年代編も書いて、できれば本にしたいなと思っています。

■なろう系作品レビュー

・「今度こそはきちんと生き抜く」…超人気作『無職転生』の“圧倒的切実さ”の正体

累計ランキング1位を5年以上保持

・意外と知らない…『転生したらスライムだった件』が常識を超えて「爆発的ヒット」したワケ

ラノベ業界の地殻変動を象徴する作品

 なろう系の代名詞的作品『無職転生』と、『無職転生』を累計ランキング1位から脱落させた『転スラ』について書きました。このへんは今度出る予定の2010年代ラノベ本から切り出して掲載しています。書いていた単行本というのはそれです。ゲラが昨日やっと来て、15日までに戻して18に再校が出て19日に責了です。雑誌かというくらいギリギリな進行……。

■YouTube小説、YouTuber本

・ストゼロ、ゲーム実況、嘔吐…YouTuber「にゃんたこ」が人気を集める理由

「YouTube文学」とは何か?

・2020年代、「マンガ動画」小説が大きく盛り上がる可能性

YouTube発コンテンツのラノベ化の明暗

・YouTubeの「変貌」が、出版業界に大きなインパクトを与えるかもしれない

YouTube発「小説」ブームを考える

 狭い意味でのウェブ小説書籍化(ウェブに掲載された小説を商業出版化する)とは別に、ネット上のコンテンツやクリエイターが小説やエッセイを手がける、という事例も追いかけていますが、その事例です。

 日本のウェブ小説投稿サイトは収益化機能が著しく弱いので、YouTubeで動画作って本にするほうが2回稼げてうまいのでは? とラノベ作家・三河ごーすと氏がマンガ動画にシナリオから参加しているのを見て思いました。

 現代ビジネスへ寄稿したら以前MFブックス創刊時に取材した元フロンティアワークスの編集者の方からDMが来て、今はKADOKAWAで記事で取り上げたYouTube小説やマイクラ実況動画で有名な(私の息子も大好きな)まいぜんシスターズの本を作っています、とのことでした。なろう系書籍化に早くから参入していた編集者が今YouTube本に関心が移っているのは象徴的ですね。

・ワタナベマホト“擁護”で炎上・謝罪した東海オンエア・てつやが「天才と言われる理由」

 私はユースカルチャー、なかでも本と絡むところに関心があります。いわゆるヤングアダルト(13~19歳向け)と称される若者向けの本の動向も追っていますが、そのなかではやはり近年のYouTuber本は無視できない存在だと考えています。

 本と動画からYouTuberを語る記事を継続して書いていきたいのですが、ここでは東海オンエア論を書きました。

■最近気になったニュース

・アルファポリスが決算予想を上方修正

 伸びた背景は電子書籍と自社人気作品のコミカライズ。アルファはKADOKAWAなどと比べると映像化作品が著しく少ないですが、それでもここまで多くの指標が順調なのは経営の賜物ですね。

 日本で小説投稿サイトを商業的に成功させたいなら、サービスを始めてから映像化ラッシュを起こすところまで5~10年はキャッシュアウトがかさんでも耐えること、または、コミカライズ量産体制を作ること(これも数年は億単位でのキャッシュフローの赤字覚悟が必要)だというのが持論ですが、アルファと次に取り上げたスターツはそれができた早期参入組です(スターツはコミカライズは一度失敗して撤退していますが再参入で成功)。

・スターツ出版、前期経常利益を2.9倍上方修正

 コロナでオズモールは大変なようですが、それ以上にケータイ小説サイト発の書籍、コミカライズが伸びたと。monokakiの連載で第一次ケータイ小説ブームについて触れましたが、約20年スターツはケータイ小説をやっていて、かつては毀誉褒貶ありましたがここまで事業として根付かせたのは本当にすごいなと。monokaki連載でこのあと触れますが、なろう系書籍化をめぐって起こる現象や言説はかなりの部分ケータイ小説書籍化のときの反復なんですよね。

・【LINEリサーチ】高校生の約8割がふだん「読書する」と回答。「紙の本」派が8割超、「電子書籍」派は1割未満と少数 「君の膵臓を食べたい」は、読書をする高校生の半数近くが読了

 学校読書調査では高校生の不読率は55.3%なんですよね(2019年調査)。まあ学校読書調査は毎年「5月1か月間で」読んだか読まないか訊いていますから、2か月に1冊とか1年1冊しか読まない人(1か月以上本を読まない期間がある人)は「不読者」とみなされる一方、「ふだん読書するか」を自己申告で訊けばこういう結果もありうるかなと。

『キミスイ』が圧倒的に強いのは学校読書調査や朝読ランキングの結果とも整合しています。この調査では本屋大賞受賞作内で比較していますが、他のあらゆる本と比べても住野作品の中高生からの人気はここ数年突出しています。

■告知

・HON.jp主宰の出版ニュースを語る週刊イベントの2/21(日)の21時回に出演します。1時間(無料枠は30分)と短いのでお気軽にご参加ください。

■後記

 気負いすぎると長続きしない気がするので、まずは週1更新のルーチンを作って、それからチャレンジしていこうかと。

 当面何回かは溜まりに溜まった執筆記事の紹介+コメントを中心にしつつ、余裕が出てきたら月1くらいでオリジナル原稿の連載もしたいし、商業メディアへの寄稿ではなかなか出すことのないパーソナルなこともエッセイ的に書いていきたいと思っています。

 ではまた。

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